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コラム

第19回 国家と企業
   

 総理大臣という職業は結構無責任で務まるものみたいで、財政赤字や少子化、産業の空洞化や、これから予想される福島第一原発の事故に起因する多くの困難をかかえている国のトップになりたいという人が多数いる。これが民間企業なら、更生法の適用か、何らかの再生措置でもなければ誰も社長など引き受けそうにない。民間企業は、その業績や財務の全てが社長の責任で、失敗によっては、株主から訴訟されたり、私財をも失うことになる。それに比べると一国の宰相は、少々失敗しても、イヤになったら投げ出すか、辞めろと云われて辞めれば、それ以上責任を問われる事はあまりないみたいだ。だから、一度はやってみたい、オレにやらせろと、まるで学芸会の劇の主役がやりたいと手をあげる子どもみたいに名乗り出る。この国の現状を踏まえ、これからどうしていくかを真剣に考えるなら、そう気安く請け負えるものではないと思うが。
 企業などでは、ドラスチックに手法を変える時、シガラミを断ち切る為に外国人をトップに起用したりすることがあるが、こればっかりは3年契約でフランスから宰相を招聘するという訳にはいかない。シガラミだらけの中、国民に愛想を尽かされながらも、堂々巡りの政局となる。そういえばその昔「かつぐ御輿は軽くてパーがいい」と云ったとか云わぬとか。

 円高で苦しむ企業が多い。日本社会が豊かになるには、円高自体は決して悪いことではない。その分輸出は苦しくなるが、安く輸入できることは大きなメリットだ。今問題なのは多くの日本の大企業が、販売も調達もワールドワイドな展開をしていることで、当然為替レートも織り込んで、調達は安く、販売は高くとなるので、日本の現状とは真逆になってしまう。そして国内の製造業等やってられなくなり、どんどん無くなっていく。私が心配するのは、数年間、こんな状況が続き、国内の多くの産業が壊滅的な打撃をこうむった後に、急激な円安になることだ。一度失った技術は元には戻らず、外から安く買っていたものが急に高くなると、貧しさの中でのハイパーインフレとなり、生活が立ち行かなくなるのではないか。

 国際競争力として今の為替レートでは、日本でいい物を安くつくる事は不可能になってきた。高くても売れるいい物をつくる方向に舵を切らないといけない。大量生産、大量販売の時代は終わった。
 吟味された高度なものだけが生き残る。

 新しい総理大臣は、国民が楽しく暮らせる国にしていこうと考えているだろうか。

2011年8月27日   記

 

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