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コラム

第26回 生命と遺伝子
   

 最近、遺伝子のことや、クローンという言葉がよく話題にのぼります。
 生物の生涯は、遺伝子によって決まっていうるとさえ言われることもあります。生命とは実に不思議な神秘的なものです。

 ゾウリムシをご存知でしょうか。淡水にいる0.1mmくらいの大きさの、1つの細胞でできているプランクトンです。単細胞の生物は、1つの細胞が2つに分かれて、それぞれが元の形になる細胞分裂という方法で増えていきます。そのとき、細胞の核にある遺伝子は変わりませんから、細胞分裂が終わったときは元の1匹が2匹になります。この2匹は全く同じもの、つまりクローンと呼ばれるものです。
 次にこの2匹が、また次々に細胞分裂をし、倍倍と増え続けます。そうすると、はじめの1匹と遺伝子的に全く同じゾウリムシが無限に増えることになりますね。

 ところが、面白いことにゾウリムシは無限にクローンを増やし続けることはしません。1匹のゾウリムシは50回分裂すると、今度は他のゾウリムシと接合し、遺伝子の交換をするのです。50回の細胞分裂で、元の1匹のクローンがおよそ1000兆匹誕生することになります。

 最近の研究で、ゾウリムシには4つのタイプがあることがわかりました。そして、そのうちの自分と違うタイプのどれかと遺伝子の交換をするそうです。遺伝子の交換を終えたものは、新しい命となって、また細胞分裂を繰り返します。そして無事50回が終わると、再び遺伝子の交換を行います。こうして1匹のゾウリムシが、脈々と生き続けているのです。

 たった1つの細胞の生物が、どうして50回を数えられるのでしょう。そして異なる種類を見つけて交配するのでしょう。不思議ですね。
 こう書くと、まるで淡水中はゾウリムシだらけになりそうですが、実際には他の生物の餌になったり、水温が合わなかったりして、どんどん増えても、一方でどんどん死んでしまいます。しかし太古の昔から、こうした営みが脈々と続けられているのです。

 

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