軽機開発株式会社|コラム

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コラム

第3回 数字の根拠
   

船のデッキがはずれて多数の死傷者を出す事故が少し前にあった。 はじめの報道ではこのデッキは耐荷重4,5tの設計で、自重が3t、つまり上に1,5t以上乗ってはいけない。なのに人間が30人以上も乗った為ボルトが折れて惨事になったと。 使用していた会社の責任者らしき人が記者会見で質問に答え、社内の規則でデッキに何人以上同時に乗ってはいけないというものは無かったと申し訳なさそうに答えていた。 しかし橋やデッキを作るとき耐荷重4,5tの設計なので5,5tの負荷がかかったらたちまち落下しますというのはあり得ないことで、破断する迄には少なくとも2倍位の余裕をみるのが普通である。 いくら何でも30人迄はOKで、40人乗ったら落ちるということは常識的にはあり得ない。 後日の報道で、デッキ自体の重さが実は6tもあったことが判明し、何人乗ろうがいずれボルトが折れる設計製作上のミスという事だったみたいだ。

初めて作る物の強度や安全度の計算というのはなかなか難しく、量産品なら様々なテストをする訳だが、全くの1号機でデーターも無いとなると机上の公式と、実際の使用条件との間でどの位余裕をみて製作するかは微妙な問題だ。 あまり余裕をみると重くなりコストもかかるし、かと言って妥当なところを細かく検証しようとするのも大仕事となる。 だいたいは安全を配慮して危険なところが壊れる前に、別のところが壊れて使えなくするような仕組みで作ってみることになる。

数字というのは、具体的な指標としていたる所にあって何となくそんなものかと受け入られてしまいがちだが、客観的とは限らないので注意が必要だ。 最近CO₂排出量やエネルギー効率などがよく記されているけれど、算出方法によって値が随分変わってくる気がする。 ここに空港を造ったらこれだけの経済効果が期待できると説明して、いざ造ってみると全く期待外れでしたということがある。 様々な指標の複雑な算出方法の中で、欲しい数値を導き出す為のサジ加減が行われることもあるのではないか。
地球に優しいと省エネやリサイクルがもてはやされているが、どう考えても却って環境に負荷をかけているのではないかと思うものもある。

何もかもが同じ方向で完璧にということはあり得ないから、3歩前進、2歩後退でも良いから注意深く、少しずつでも確実に環境問題に一人ひとりが取り組んでいければそれで良いかと思うけど。 結局のところ、数字より人間の勘と感性で「これではいけない」「こうして行こう」って良い方向に進むことを願うばかりですね。
経済の指標なんてどうせイイ加減なもんなんだから「景気は急激に回復に向かっているようです」ってやらんかねぇ。

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