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コラム

第39回 生命の概念
   

 iPS細胞というものが話題になって久しいが、細胞の培養技術や遺伝子組換えの技術、それにクローンを作って育成する等、生命そのものを管理、培養する技術はとどまるところを知らない。
 また、最近になって、クリスパーCas9と言われるゲノム編集技術が登場し、遺伝子組み換え生命体の作成が一段と管理しやすくなったようである。
 人間に関しては倫理上の問題が問われ、どこ迄が行われるかはわからないが、技術的に可能な事柄は幅広く、恐ろしさを感じずにはいられない。
 そうなってくると、元の生命とそのクローン、元の生命細胞を培養したり、その遺伝子を編集したものなどが登場し、どこまでを一つの生命と考えればよいのかわからなくなってくる。

 物理学でもかつては原子が最も小さい単位と考えられていたが、今では陽子や中性子、さらに光子やニュートリノなど種々の素粒子に分類され、ダークマターの存在なども取りざたされ、物質の定義が揺らいでいる。

 生命においても、人間という一つの生命体の中に多くの細胞があり、その中に核があり、遺伝子がある。つまり、生命体の成分としてのタンパク質が電子を使って生命体をつかさどっている。
 ここで思ったのは、単細胞生物というのは、細胞分裂によって増殖する。通常遺伝子交配は行わないので、クローンがどんどん出来ることになる。ところが、例えばゾウリムシの場合、50回分裂すると、雄と雌のようなO型とE型というタイプのどちらかに育ち、そのペアが接合して減数分裂して新たなゾウリムシとなるそうです。
 という事は、実は接合迄は、人間の受精卵の細胞が分裂して育つように、一つの個体ではないけれども、一つのゲノムのゾウリムシが分散した状態で、細胞分裂を繰り返して育っているというふうにも考えられるのではないでしょうか。そして遺伝子交配後のものが、新たな生命の誕生という見方はどうでしょう。

 生物学的にはどうかわかりませんが、生命とは個体ではなく、固有の遺伝子のようにも思えてきます。

 科学の進歩によって、これ迄何となくとらえていた命とか、物質とかいう概念が、考えれば考える程わからなくなる今日この頃です。

 

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