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コラム

第7回 エコとコスト
   

 いつの間にかエコポイントなるものが出来て、「エコ」とお墨付きの商品を買うと国がオマケを付けてくれるらしい。オマケには目がない人も多いから、そこそこ狙い通りの経済効果が得られるかもしれません。


 「エコ」イコール地球に優しいみたいな捉え方で、まあ大雑把にはそれで良いんですが、環境破壊を防ぐことと省エネ対策、CO2削減というのは必ずしも同じでなく、時には矛盾すらするので、どういう感覚で、何をどうするか、また、どういう方法で何から推し進めるかは個人にとっても、企業、国にとっても真剣に考えるほど頭を悩ませる問題になりそうです。


 「電気自動車はCO2を全く排出しない車です」と誇らしげにメーカーがのたまう訳ですが、その電気を火力発電で生産して送電するのと、個々の車でエネルギーを燃焼させるのとどれだけCO2排出削減になるかは計算式によって異なってくるでしょう。


 原子力発電は有力な発電方法で、実際には日本の電力の多くをまかなっている訳ですが、いろいろな問題もあり、これを今後どうしていくのかもはっきりさせる必要があるでしょうし、燃料電池も送電によるロスがない等の利点もありますが、化石燃料等を使う事に変わりはありません。 ヨーロッパでかなり普及している風力発電も、ここへきて健康被害を訴える人が出て来たりして今後どうなるかわかりません。そこへいくと太陽光発電というのはいかにもエコって感じで解りやすくて受け入れ易いので、これからの環境対策の中心と位置付けられる可能性が高く、この分野の技術で先行することが日本の産業の救世主となるかもしれません。何といってももとがいつも燦燦と降り注ぐ太陽の恵みなわけですから、多少発電効率が低くても廉価な設備が実用化されれば一気に普及する可能性は大いにあると思います。


 シュレッダーにかけたA4用紙40枚からトイレットペーパーを1ロール作るという装置が開発されて発売されるそうです。紙のリサイクルとしてわかり易くて面白い試みですが、畳2枚分のスペースで、1ロール作るのに30分かかるそうで、エコというアドバンテージはあっても、市販のトイレットペーパーにはなかなかかないそうにありません。現在900万円位するそうで、少々安くなったとしても水や電気も要る訳ですから、よくある燃料電池教材キットみたいなもんでエコデモ機器の域は出そうにありません。
 再生紙がそうであったように、リサイクル、エコと言ってもコストでかなわなければ、実際には殆ど使用されていないにもかかわらずリサイクル材を使っていますと宣伝してイメージアップをはかり、コスト競争を有利にしのごうとするエセエコが横行することになりがちです。


 リサイクルでエコをうたうよりも、余分な物を出来るだけ作らない。必要な物を必要なだけ作って品質を高めることの方が、結局エコといえるのではないでしょうか。日本の大企業の売り上げを増やす為に、大量生産で、機能的な品を限界まで安く作り、世界中に売って売って売りまくるという考え方そのものがエコと相反するのではないでしょうか。


 エコを売りにするのではなく、人間の生活になじむエコな良い物を開発し、本当に必要なだけ生産する事が、これからの日本のものづくりの目指す道ではないでしょうか。

 

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